第67章 【妖怪】×【秘密のある少女】
「どうしよう……全然見つからない…」
探し始めてからどのくらい経っただろう、
色んな場所を探し回ったのに、
ネックレスは全然見当たらなくて泣きそうになる。
最近なんだか嫌なことばかりだ。
何かいい事が起こればいいのに。
「……もうこんな時間か…」
このままでは辺りも段々暗くなってしまう。
早いうちに見つけないと、暗くなってからじゃ遅い。
「……これ、君のでしょ?」
必死に探していると、上から誰かの声がした。
顔を上げると優しそうな顔をした男の人がいた。
その手には探していたネックレスがあって、
「……そうです…!ありがとうございます…!」
受け取ったものを見ると、やっぱり自分のだ。
それは、暗闇の中で輝く一筋の光のように思えた。
大袈裟かもしれないけど、そのくらい嬉しかった。
「見つけられて良かったよ。」
その人は私を見て、嬉しそうに笑った。
「一緒に探してくれたんですか?」
偶然見つけたものじゃなくて探してくれたものだということは指の切り傷で分かった。
「よく分かったね。」
「分かりますよ。良かったらこれ、使ってください。」
絆創膏を2枚渡すと、きょとんとした顔をする。
「これ、何?」
「傷に貼ると治るんですよ!」
私の説明を聞いて、その人はふわり、柔らかく笑った。
「へえ、魔法みたいだね。」
「そうですよね!」
昔自分が思っていたことをそのまま言うから、
なんだか嬉しくなる。
「それより、さっきのお礼させてください!
何か欲しいものとかないですか?」
物によっては買えるかもしれないから。
でも、その答えは予想もしないものだった。
「じゃあ、君の欲しいものが知りたい。
君は何が欲しい?」
質問を同じ質問で返されてしまった。
「じゃあ教えるので、ちゃんとお礼させてくれませんか」
「うん。教えてよ。」
「……私は、1人になれる場所が欲しいです。
なんの参考にもならなくてごめんなさい。」
さっき自分で聞いておいて、いざ自分が聞かれると
欲しいものなんてすぐには浮かばなくて、
なんだか申し訳なくなった。
それに本当に全くなんの参考にもならない答えだ。
「大丈夫。参考になったから。」
「…それは良かったです。
それで…お礼、考えてくれましたか?」