第67章 【妖怪】×【秘密のある少女】

俺は人間に恋をした。
何かをこんなに愛おしいと思ったのは初めてだった。

人間なんて見てたって退屈だと思ってたけど、

あの子は、あの子だけは。何だか見てて飽きないんだ。


バカでドジな子だけど、無理して明るく振舞ってて。

1人で頑張り続けるには限界があるのに、
自分より他人のことばっかり優先して考えて。

優しくて、放っておけないような。

だから会って話してみたいと思ってしまった。

昔知らない誰かが、人間に姿を見られてはいけないと
言っていた気がしたけれどそんな事どうでも良かった。

「ここにも無い…ほんと、どこいっちゃったんだろう？」

草むらの中、落としたネックレスを必死に探している。
それは大切な家族からのプレゼントだと言っていた。

さっきあっちの方で落としてしまっていたのを
見た気がする。

―そうだ。それを先に見つけて渡せばあの子は喜ぶ。

そう思った俺は、あのネックレスを探すことにした。