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色々彼氏 。【短編集】

第66章 【死神】×【最期の日】


「ほら。出来た」
「遅いね。随分待ったよ。」

「久しぶりに作ったんだから、仕方ないでしょ。」

こうして料理を作るのなんて久しぶりだった。
いつもいつも、お店で出来てるものを買っていたから。

出来たものを、見ているのに飽きて椅子に座っていた
死神の居るテーブルへ持っていく。

死神はそれを見て驚いた顔をした。

「これはなに?」
「ハンバーグ。」

珍しそうにじっくり見る。
そんなに見たところで、毒なんか入ってない。

「良いから食べて。」

お箸を持って綺麗に食べる。
死神って、お箸の使い方とかちゃんと分かるのか、
と今度はこっちが驚かされる。

「どう?味。」
「………感動した。」

「人間はいつも、
こんなに美味しいものを食べていたんだな。」

そう言った表情が一瞬だけ少し寂しそうに見えたのは、
気の所為なのか、それとも。

「大袈裟だって。
…まぁ、でも気に入って貰えたなら良かったよ」

「ああ。気に入ったよ、」

その先は探っちゃいけない気がして考えるのを辞めた。

「時間、まだあるの?」
「まだある、けれどもう無い。」

なんだか曖昧な言い方だ。
さっきも日が暮れる頃とちゃんと教えてくれなかった。

「そっか、もうないのか。」

普段の自分ならまだあるのかと思って、いたはずだ。
そう考えるとちょっとおかしかった。

どうして私、
死神をこんなに必死にもてなそうとしてるんだろう。

こんなに、誰かの為に必死になったの久しぶりだ…。
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