第66章 【死神】×【最期の日】
「こんにちは、お嬢さん。」
怪しい男に会った。会ったと言うよりも、
突然私の前に現れた。という方が正しい。
薄っぺらい笑顔を浮かべたその男は自分の事を
“死神”だと名乗った。
暇だった私は、最期だという時間まで
その男をもてなすことにした。
「ねえ、何か食べたいものはあるの?」
まずは料理。死神って何が好きなんだろう?やっぱり…
「命。」
言うと思った。時計を見るけどまだ、
時間にはならないから命を用意することは出来ない。
「今は用意できないから他のものにしてよ。」
「そう言ってもね……じゃあ、お嬢さんの好きなもの。」
少し悩んでから、
良いこと思いついたみたいな顔でそう答えた。
「わかった、」
好きな食べ物なら決まってる。
子供の頃から大好きで、夕飯にそれが出てくれば、
落ち込んでいる時も大体の時は元気になれた。
「作るからゆっくりしてて。」
「じゃあ、作るところを見ているよ。」
後ろから視線を感じる。
見られていると作りづらいんだけど…
「ねえ、いつになったらそれは出来る?」
「もうちょっとまってて。」
ソワソワしながら待っていて、なんだか面白かった。