第64章 【浮気相手】×【最低な恋。】
「………何考えてるのか分からない人。」
なんとか振り絞って出た答えはその一言で。
私がいつも思っていることでもあった。
何考えてるのか全く分からなくて、読めない人。
「会ってんの?」
「…ううん、会ってないよ。」
会っていると言ったらどうしていたんだろう?
#蒼依#は ふ、と小さく笑って、
私に近付くと、触れるだけの短いキスをした。
ほんの一瞬なのにお酒の匂いが鼻を刺激する。
頭が痛くなって、また私は溺れていく。
それは毒のようで。
簡単に私を翻弄する。
寝てるとは言え
目の前に親友が居るのに私達は。
「ごめん、俺も酔ってるかも。」
「………んッ 、ぁ、」
耳を舐められ、声が漏れそうになるのを必死に抑える。
横目で見ると、
親友は相変わらず気持ち良さそうに眠っていた。
「そんなにバレたくない?」
「…うん。」
止めて欲しいと思うけれどやっぱり見つかるのは怖い。
こんなことをしておきながら、
親友の傷付く顔を見たくないと思うのは我儘だろうか。
「せめて、違う部屋が良い。」
「わかった。」
私達は、寝室へと静かに部屋を移動した。