第64章 【浮気相手】×【最低な恋。】
数日前、
親友から久しぶりに3人で会おうと連絡があった。
親友と会うのは確かに久しぶりだった。
親友はあの頃と変わらなくて何故か少し嬉しかった。
最低な私に、親友は雨衣も変わらないねと言ってくれた。
「いっぱい買ってきたから、好きなの選んでよ。」
親友はそう言って買ってきた物をテーブルに広げる。
色んな種類のお酒がある中から、私はお茶を選んだ。
「えっ、それでいいの?」
元々お酒は好きじゃないし、人前で飲むのはもっと好きじゃなかった。
「うん。私はこれでいいかな。」
親友と蒼依がそれぞれお酒を取り、私達は乾杯した。
『乾杯〜!』
久しぶりの再会での会話は思った以上に盛り上がった。
あれから何があったとか、今は何をしているのかとか。
メッセージでやり取りするよりも、会話が続いた。
最初の頃にお酒はあまり強くないと言っていた親友が、何杯も飲むから、もうすっかり酔っていた。
蒼依は強いらしく、顔が赤いだけだ。
「雨衣はぁ〜、好きな人とか、居ないの?いい感じの人とかさ〜……ね?」
突然聞かれて戸惑う。
ハッキリ言えば、好きな人は目の前に居る。
でも、親友には絶対に言えない。
「………いないよ。いい人も居ないんだ、」
居ないと答えるのが1番いい。
詮索されることもないし、
蒼依以外に好きな人はいない。
蒼依は何か言いたげな目で私を見ていた。
けれど、その時は何も言わなかった。
「…………」
いないと答えたは良いものの、親友からの返事はない。
親友を見ると、どうやら眠っているようだった。
「……寝てる…」
「本当はいるんじゃないの。」
ぽつり、私を見て蒼依は言った。
間違ってないけど、本当のことなんて言えない。
架空の人なら……なんとかなるかもしれない
「………うん。」
だから早く、この話を終わらせないと。
私の恋愛の話なんて、
聞いたところで面白くもなんともない。
だからそこまで食い付いてこないだろうと思ったのに。
「どんなやつなんだよ、それ。」
どうしてかそんなことを聞いてくる。
どんな人かなんて考えてない。
ずっと片想いだったから、浮かぶ答えは全て蒼依に繋がってしまう。