第5章 【幼馴染】×【取り合い】
「…空…?」
「じゃあ、俺ちょっと用事あるから…先行くけど」
「明日までに、俺か空か、決めろよ!」
空の突然の心変わりに驚く私を蒼依は気にせず、判断を押し付け自分の用事へと向かった。
「ね。雨衣に無理言って…ごめんね。」
「でも…俺も本当に好きだから。身を引くつもりは無いよ。」
空は、にこりと優しく笑って言ってくれた。
「蒼依もああは言ってるけど…ゆっくりでいいから。」
「空…ありがとう。」
私の頭を軽く撫でる空に少し嬉しくなった。昔から空に撫でられるのは、どこか安心してとても好きだった。
「本当は…俺も雨衣にキスしたい所だけど…いまはやめておくね。」
「っ、空まで…。」
「俺だって男だよ?」
なんて言ってふふ、と笑う空。
「キスだって…したい。」
そんな言葉に私はさっき蒼依とした事を思い出した。
「蒼依の事思い出した?」
「…ずるい。」
空の言葉の意味を考えてると、頬でちゅっ、と音がした。
「我慢出来なかった。」
「ごめんね。」