第47章 【浮気性】×【喧嘩】
「今日は水族館デート、楽しもうね!」
「…ん、そうだね」
昨日は良く眠れなかったし、今日は何だか乗り気になれない。
小さく返事をして、俺は水族館に向かった。
「やっぱり、最初はペンギンだよね〜………って、………なんだよね、」
「…」
ペンギン。彼女が大好きだった気がする。
お土産の小さなぬいぐるみを欲しがって、悩んでいたっけ。
「それで、友達が…って、蒼依くん?聞いてる?」
「…あ、ごめん。ちゃんと聞いてたよ。」
「ふーん。もう、次行こっか。」
「そうだね、」
ダメだ。考えてはいけないのに。
「ほら、見て!これ…なんて魚なんだろ?かわいい!」
「これは…」
彼女が言ってたっけ、たしか、
「ハナゴイ。」
「…ほんとだ!詳しいんだね〜!」
忘れろ、彼女のことは。
「もうすぐショーだって!行こうよ!。」
「………あぁ、うん」
彼女は、このショーが好きだった。
「楽しみ〜!水とか、大丈夫かな?」
「…」
「蒼依くん?」
「ん…?あ…うん、そうだね。」
「…私、もう帰る。」
「え」
「じゃあね、」
突然怒って帰ってしまった。まるで、昨日の彼女のように。
俺は、誰一人幸せにすることも出来ない最低な男で、
彼女すら幸せに出来ないのに、他の子だって出来るわけない。
そんな事に今更気が付くなんて、本当、俺は馬鹿だ。