第37章 【我儘王子】×【真面目女執事】
それから何ヶ月か経ったある日。王子にいつもと違った事を頼まれた。
「ねぇ、今日は…俺が眠れるまで、隣に居て。」
「隣に…ですか?」
寂しいから隣に来て欲しいと、そんなお願いはあったけど、
眠れるまで隣に居てと頼まれたのは初めてだった。
「そう。最近良く眠れなくて困ってるんだよね。」
…そう言えば、最近はよく眠れないから何をして欲しいとか、そういうのが増えた気がする。
「―だから、今日は一緒に寝てよ。俺と、」
「…蒼依様。そのお願いは聞けません。」
いくら拒否できないとはいえ、隣で寝るなんて使用人の仕事では無い。
「なんで?」
「私は貴方の執事であって、それ以上では無いので。…すみません。」
「俺は雨衣の事、ただの執事だなんて思ってない。」
「…え?」
「…やっぱり何でもない。これは命令なんだ。早くしてよ。」
次はもう、断れない雰囲気だった。
「分かりました。これも…秘密ですよ?」
そう言うと、王子は少しだけ嬉しそうに笑った。
ベッドに入ると、王子はすぐに眠ってしまった。
本当はすぐに戻ろうと思っていたけど、すぐに帰るのもなんだか悪くなって、
眠ったのを暫く見守ってから、自分の部屋に戻った。
「おやすみなさい。蒼依様。」