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Luce e Concerto di neve【復活】

第2章 Incontri


後は…そうだな。このスーツも駄目だ。基本的にスーツと白衣しか着るものが無いから何処かのブティックにでも入って町娘風の洋服を買って着替えよう…って言ってもこんな小さな田舎の港町にブティックなんてお洒落な店がある訳ないじゃない!いや、いっその事小さな洋服屋でも構わな…



『って駄目だぁ…』



街に降りる時は、薬草や農園の種、その他食材くらいしか買わないから洋服屋が何処にあるかすらも分からない。いっその事、隠密行動でさっさと買い物を済ませて戻るしか無いか。



『よし、そうしよう』





※※※





「どう?」



時刻は15時30分。俺達がこの小さな片田舎の港町に到着して既に一時間は経過していた。俺達が来る前から既に同職の野郎共がこの街を彷徨いていた。町民に聞けば、ここ数週間前からこの状態らしい。
胡蝶と言う人物を探してるらしい、と聞いたが何せ本名も知らなければ見せられた写真も(きっとあのボヤけ過ぎた写真の事だろう)大層分かりづらくて誰を探してるのか分からないから情報の提供仕様が無いとの事。



「北西を張ってるのは北アメリカのマフィアね」

「南西はメキシコのマフィアだね」

「南東は多分イタリア」

「こっち北東は中国だな」



どのマフィアも名だたる有名なファミリー。三つ巴ならぬ四つ巴を出し抜くのはなかなか骨が折れるだろう。だが全員が胡蝶の姿形を知らない。つまりはいち早く胡蝶を見つけたファミリーの勝利となるだろう。



-フッ…-



「!」



ふと視界の端で小さな影が見えた気がしたが誰も居ない。



「ちっ…気の所為か」



影が見えた気がした方向から視線を外して再び息を潜めて周りを監視していると少し離れた裏路地から一人の女…と言うには幼過ぎて少女と言うには大人びた………女が出て来る。
ワイシャツに深いスリットが入ったタイトなロングスカート。黄みがかった色の白い肌。無造作に束ねられた黒い長い髪の毛。明らかに東洋人。買い物中なのか茶色い紙袋を抱えてその紙袋からフランスパンが見える。中国マフィアの人間か?否、マフィアと言う感じでは無い。だがその雰囲気には一切の隙が無い。
只者じゃない、と鍛えられた勘が言う。その女は小さな薬局に入っていった。




















→To Be Continued.
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