Luce e Concerto di neve【復活】
第2章 Incontri
-イタリア某所、とある邸。
薄暗い広い部屋。中央には長いテーブルと幾つかの椅子。繊細なアンティーク調のデザインの家具は一体どれ程の金額がかかるのか分からない。テーブルを囲む椅子に腰掛ける幾人かの影。飲み物を飲む者、書物を読む者、書類を書き留める者、各々の武器の手入れをする者。ただ黙って表情が読み取れない顔で座ってる者。
「ボスは?」
「目覚めてばかりだから専門医に診てもらってるところ」
体躯のいい男レヴィが聞くとまるで赤ん坊の様な…でも口調は大人そのもの…でもやはり赤ん坊らしき者マーモンが感情を込めずに答える。
「しししっ、大丈夫なのアイツ。ボスの前でちびったりしてんじゃね?」
「大丈夫だろ。十年近くウチの専門医してるんだ。ボスの顔も知らねぇ訳じゃねぇ」
「そうよぉ。今の所ボスの機嫌も悪くは無いし」
頭にティアラを乗せた前髪の長い少年ベルフェゴールが白い歯を見せながら笑い、長い銀髪の青年スペルビ・スクアーロが呆れた様に言うとモヒカン頭のマッチョ、ルッスーリアが身体をくねらせながらオネエ口調で答える。
個性豊かな面々。この統一の無い人間達の職業はー…
-ドォン-
「何だぁ!?何事だ!?」
「ボスの部屋からだね」
「やぁねぇ…お部屋壊れたんじゃないかしら?」
※※※
爆音がした部屋に駆け付けると大破した壁。そこから匂うのは銃弾の焦げ臭い匂いと仄かなアルコールの香り。扉からでは無く大破した壁から部屋の中に入れば上半身裸でキングチェアに座りながらブランデーを飲むボスと大破した壁のすぐ側で身体に幾つかの風穴を空けて息絶える専門医。
「死んでる」
「何かやらかしたんじゃね?」
裏社会(つまりは暗殺)でも指折りに入りそうな程の優秀だった医者が呆気なく事切れたのを横目で見た後にボスに詰め寄る。
「うぉ゙ぉ゙お゙い!何ふざけた事してやがるんだボスぅ!!!コイツ名医だぞ!?」
「…るせぇ、ドカス」
「でもちゃんと診て貰わなきゃ駄目よボスぅ…彼とっても名医だったのに…」
「どっかで医者を攫えば良くね?」
と簡単に言ってのけるイカレ王子の言葉に頭を抱える。
「普通の医者じゃ駄目だ。こっちの世界で生きて行ける医者じゃねぇとまたボスに殺られる」
「そうねぇ…彼以上の名医となると…」