Luce e Concerto di neve【復活】
第6章 Incubo
まるで海の中をさ迷ってるみたいにふわふわとする意識。少し意志を強く持てたら起きれそうなくらい浅いのに起きれない。そしてどんどん沈んでいく。
-パリーン-
それは十年くらい前の冬の日だった。
何かの研修者であった両親は非常に忙しく滅多に家に居なかった。でも別に寂しくなかった。あたしの隣には五つ上のお姉ちゃんがいつも傍にいてくれたし、忙しい両親に代わって祖母が面倒見てくれてたから。
その日は多分クリスマスイヴだったと思う。久し振りに家に帰って来た両親と楽しく過ごして次の日はお出掛けしようって約束して眠りについたハズだった。
-ガシャーン-
居間から聞こえて来た大きな音に目が覚めて子供ながらに感じた底知れぬ違和感と恐怖に震えてたあたしの背中をお姉ちゃんは摩ってくれて様子を見てくると部屋から出て行った。でも一人は余計に怖くてお姉ちゃんのパジャマの裾を掴んで引っ付いた。
「研究資料を探せ」
「研究室には無かったからこの家に絶対あるハズだ」
見知らぬ沢山の大人が家を荒らしていた。両親は…床に転がっていて。寝てるんだって思ったけど僅かに差し込む月明かりで確認出来た血溜まりに何かを確信した。
-トサッ…-
一同「!?」
『…ひっ………』
「おやおや〜?お嬢ちゃん達こんな時間に起きてちゃ駄目じゃないか」
「や…めろ、子供に…近付、な」
「あーん?まだ息あったの?」
「資料の場所言わねぇなら用無ぇから」
「俺達で探すし用済み」
-パァンッ-
「ぐあっ…」
『おとうさん!』
破裂音と血飛沫。目の前で両親が殺されたのに、あまりの恐怖で涙も声も出ないし指一本も動かせなかった。そんなあたしをお姉ちゃんは背中で隠し怖い大人達に立ち塞がった。
「んー?妹を庇うの?強いお姉ちゃんだねぇ」
"帰って。今すぐ帰って下さい"
「直ぐに帰るさ。資料を見付けて君達を両親と同じところに送ったらな」
-ガシッ-
『いやぁ!!』
髪の毛を鷲掴みにされる。
"雪姫を離して!"
-げしっ-
-ばきっ-
「ぅぐっ!?」
「ほぅ…」
"雪姫に触ったら…許さない。殺す"
「んー!大したお嬢さんだ。流石あの血族…まぁ妹ちゃんの方は眠ってる…いや、血が薄いのか」