Luce e Concerto di neve【復活】
第5章 Nascondiglio
浅い眠りから意識が覚醒する様に目を覚ませば見慣れない天井に、まだ薄暗い室内。真新しい硬いシーツに包まれた身体は何も召してない。そう言えば昨日、山を降りた港町に買い物に出掛けたら何故かアタシが生きてそこに居る事がマフィアに知られてて抗争に巻き込まれたんだっけ。
そうして出会ったのがヴァリアーでスカウトされて…何か惹かれるモノがあって所属する事に決めたんだっけ。
-パサッ…-
しかしまぁ…個性的な面々だったなぁと思いながら起き上がってベットの横に置いてた資料を手に取る。昨夜、就寝する前に手渡されたヴァリアーの構成員についての資料。皆それぞれ色んな負い立ちがあるもんだ。
『服、乾いたかな?』
何せ何も持って来ていない。洋服どころか下着の替えすらも持ってないから取り敢えず寝る前に洗濯して浴室に干したのだが。
『乾いてる』
浴室乾燥機、優秀過ぎやしないか。まぁちょっと眠気覚ましにシャワー浴びてから部屋を出よう。
※※※
『運転、代わりましょうか?』
「いい」
ずっと眺めていた構成員の資料から目を離して運転しながらぶっきらぼうに答えるスクアーロさんを盗み見する。隊服では無く私服。
理由はこうだ。
アタシは三年間、普通の医者として過ごして来たから。いきなりマフィアに入るなんて言って世話になった村を出ると混乱を招くだろうから新しい就職先を見付けたから村を出る、と言う感じをルッスーリアさんが提案。荷物も少ないし大人数で行けば不信がられる可能性もあるからとスクアーロさんとアタシの二人だけ。問題だらけの個性派集団だけど妙に気遣いの出来る人達。
『そう言えばスクアーロさんって左手は義手なんですね』
「初代剣帝との戦いで切り落とした」
って事は自ら切り落としたのだろうか。何故そんな事をしたのだろう?とは思うもののそれはアタシが聞くべき事では無い気がするから聞かない。
『メンテナンスもご自分で?』
「まぁな」
『何かあったら仰って下さい』
「…出来るのか?」
ふと視線を感じる。
『ええ。医者ですから。義手義足の患者様も居ましたし』
「腕は確かだろうなァ!?」
『誰に言ってるんですか』
「冗談だ」
『スクアーロさんって冗談言えるんですね』
「………」
あれ?口を閉ざしちゃった。