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イケメン革命 アリスの恋 短編集

第1章 はじめて <フェンリル>


ルカに目を向けるとルカは小さく頷いた。
「おい、ルカ、この量の皿はひとりで運べねーだろ。貸せ。」
横からフェンリルがルカの持っていた皿をひょいっと半分手に取った。
「…大丈夫だし」
ちょっとルカがふてくされたのも気づかず、フェンリルはお皿を運んでいく。
「ルカ、わたしも手伝うよ」
「じゃあ、ナイフとかフォークとか並べておいて。」
「はーい。」
わたしもフェンリルの後に続くようにルカから離れた。 


食事が終わり、わたしはひとりで部屋に戻る廊下を歩いていた。
なんだか、今日は全然フェンリルと話せなかった。
 
食事のときに今日のこと聞こうとおもっていたのに、フェンリルは酔って眠ってしまったレイを部屋まで送って行ったきりだったし、わたしも疲れてしまって早々に食事を切り上げてきてしまった。

すごく、疲れた。
フェンリルには会えなかったし、結局なんとなく気まずいままだし。
恋人同士になった実感が全然ない。
どうしたら、もっとフェンリルと一緒にいられるんだろう。
どうしたら、もっとフェンリルと触れあえるんだろう。
もっともっとフェンリルのことも知りたいのに。       

「はぁ。」
また、つい大きなため息がでてしまった。いけない、と思ったそのとき。
いきなりうしろから腕を引っ張られる。
「しー」
「フェンリル!」
「今日全然会えなかったから。部屋、来いよ。」
フェンリルが太陽みたいな笑顔を見せた。
嬉しくて、つい笑みがこぼれてしまう。
「わたしも、会いたかった。」
「っ…」
フェンリルがわたしから顔をそらす。
「あんまりかわいいこと言うなよ。…我慢してんだから。」 
「え?」
「なんでもねーよ!」

そのままフェンリルに強引に腕を引かれる
部屋に入るときつく抱き締められた。
「っ!」
びっくりしてつい体が強張った。
そんなわたしの変化にフェンリルはすぐ気付くんだ。
「…怖いか?」

心配そうにわたしを見るフェンリルはいつもと違って、なんだか可愛らしかった。

「違うの、その、まだ、昨日フェンリルに好きって言ってもらったばっかりで…」
うまく言葉がでない
         
                                              
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