第6章 あなたの手を離さない~信長√
「だれか来るかもしれない。俺は行くね!また来るよ。」
「うん。ありがとう!」
その頃、歌恋の部屋の近くまで来ている人がいた…。
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(誰かとあやつは話をしているのか?)
佐助が天井に戻る前に会話が聞こえてきた。
「現代に戻らないのかい?」
その言葉だけがなぜかはっきりと信長の耳に聞こえた。
歌恋が元いた世界に戻る?
この安土から居なくなる…。
そんな事を考えもしなかった。歌恋はこの乱世の人間ではないという事実だけが今更ながら痛感させられた。
その日は歌恋の元へは行かず、天守に戻り1人で徳利片手に酒を飲んでいた。
ちょうど天守からは月が丸く満ち、月夜に照らされた信長の顔はどこか寂しげにも見えた。