第3章 武将達のそれぞれの思い…と久しぶりの再会
その日はそのまま宴会が始まり、歌恋は信長のお酒の酌をしたり、武将達の話相手になったりして夜も遅くまですごした。
朝方、目を開けると慣れない天井が見え、周りは豪華な装飾の家具一式が揃えられてここが安土城だと実感する。
「はぁー。そう言えば、おじい様とおばあ様に何も言わず出てきてしまったから、心配してるかなー。」
さて、信長様に頂いた羽織と小袖に手を通して、自分で帯を締める。
三成くんに「明日の朝、辰の刻に朝餉のため、それよりも少し前にお迎えに上がりますね。」
と言われて、辰の刻って何時だっけ?でも朝そんなに遅くなさそうだし、いつも通り日の出を少し過ぎた辺りに起きていれば大丈夫だよね。と思い、床に入った。
さて、三成くんが来る前に身支度整えて置かないと。
「歌恋様、三成です。お目覚めでいらっしゃるでしょうか。」
「うん。大丈夫だよ。」
信長様に頂いた小袖は黒地に赤の糸で花柄の刺繍が施され、帯も黄色と金色の間の地に細かな模様があり、呉服屋出身の歌恋はかなり関心していた。
「おはようございます。歌恋様。本日もお美しいですね!」
「ありがとう。三成くん。それにしてもこの、小袖かなり上物じゃない?生地もしっかりしてるし、刺繍も細かくて丁寧だし…」
「はい。この小袖はもちろん、安土の武将達の着物や羽織などは全て、京都の呉服屋から仕入れています。」
「そうなんだ。」
「歌恋様は呉服屋の孫娘と仰っていましたから大変目が効くのですね。」
「そうかな…。」
「あっそろそろ朝餉の時間です。広間へ参りましょう。」
「うん。」
三成は何故かニコニコしながら歌恋と歩いていた。