第19章 番外編~秀吉の恋模様~
時は霜月。
主君織田信長の祝言の準備のため、秀吉は音羽屋を訪れていた。
音羽屋とは・・・
男女問わず着物から、小物、髪飾り、耳飾り、巾着、浴衣、晴れ着などを取り扱う総合着物商店となっている。
織田家とも付き合いが長く、信長が安土城を築城してからはお針子衆を紹介してもらったり、祝い事の時などは音羽屋に頼んでいた。
秀吉が音羽屋に着くと、お店の者が声を掛けてくる。
「これはこれは、秀吉様・・・、ただ今旦那様をお呼び致します。」
「あぁ、そうしてくれ。」
秀吉が店の入り口で待っていると
「秀吉様よ!素敵よね…」
「今日はお一人なのかしら・・・。」、「秀吉様が簪見ていらっしゃるわ・・・誰に送るのかしら~」
買い物に来ていた女達が騒ぎ始める。
すると、店の主人が出てきた。
「秀吉様、お待たせ致しました。ささ、中へどうぞ。」
秀吉は店の奥の部屋へと通された。