• テキストサイズ

王女様に祝福を【FFIX】

第2章 家出騒動




ぐったりとした少年を抱えて、私は飛空艇の端から街を覗く。

城の近くの建物は大きく壊され、今も阿鼻叫喚とした状態のようだった。

 
ひどい。

ガーネットを取り戻す為とはいえ、砲撃はやり過ぎだ。

 
劇場艇から大きな破片が落下したのか、近くでガシャアアン! と地響きが起こる。

再び外を覗くと、美しく整った街の途中。

グシャリと建物が潰れていた。

 
あそこに人がいたかもしれないのに。

心臓がぎりぎりと締め付けられる。
 

劇場艇プリマビスタは、徐々にアレクサンドリア城から遠ざかっていき。

やがて城下町の上空を抜け出した。


劇場艇は至る所で悲鳴を上げるように不安定に揺れながら、どんよりとした厚い雲の上を飛び続けている。

が、爆発のダメージは大きかったようで、その高度はだんだんと下がっていく。

やがて機体は雷雲に乗っかり、ずぶりと船体を沈めていった。

 
「……っ!」
 
 
唸る雷鳴と風にきり揉みされながら、私は必死に少年を抱きかかえる。

ぐらりぐらりと大きく船が揺れていた。

 
ぼふんっと音を立ててようやく雲から抜け出すと、うっそうとした森が姿を現した。

劇場艇はもはや限界だった。

木々をなぎ倒しながら、機体が大きく横に傾く。
 

「お、ちるっ!!!」
 
『レイナ!!』
 
 
ずるずると滑る身体で最後の足掻きと木製の床に爪を立てるけど、そのかいもなく。

少年を抱えた私の身体は船から放り出された。


/ 389ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp