第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
ジタンside.
「私が皆と旅してる理由はね、クジャのことももちろんあるんだけど、お兄ちゃんを探してるっていうのもあるんだ」
「そうだったんだ」
「この大陸にいるかは分からないけどね」
暗い海の向こうを見つめる。
レイナが旅をするのに、そんな理由があったなんて知らなかった。
彼女はあまり自分のことを語らないから。
少しだけレイナのことがわかったような気がして嬉しかった。
「そうだな、クジャのヤローをぶっ飛ばしたら霧の大陸に戻ろう。オレも探すの手伝うぜ」
「いいの?」
「ああ、オレもタンタラスを抜けて暇してるからな」
「タンタラスって……」
「オレがいた盗賊団だな。表向きは華やかな劇団、裏の顔はお宝を狙う盗賊団さ」
とはいえ、アレクサンドリアでの一件があって、劇団の活動はもうできないだろうけど。
まああいつらのことは心配しなくても大丈夫だろう。
活動の幅が減ったとはいえ、タンタラスでなら何かしら楽しく生きていくことができる。
「へぇ、そうなんだ……楽しそうだね!」
「まあな!」
「ジタンはタンタラスには戻らなくていいの?」
「ボスと喧嘩して出てきちまったからなぁ……まあ、気が向いたらそのうちな……そんなわけだからさ、レイナの兄貴探し、オレも手伝うぜ」
「ありがとう……あのね……私、今みんなと旅をしてるのがすごく楽しいんだ。だから、クジャのことが終わっても一緒にいてくれるってジタンが言ってくれて、すごく嬉しい。ありがとう」
目の前で照れたように笑うレイナの顔を見て、何故かコンデヤ・パタで行った結婚式の時を思い出した。
あの時のレイナも照れたような笑顔がかわいくて、思わず彼女の口の端にキスをした。
式場でそういう空気だったっていうのもあるけど、それ以上に自分の体が自然と動いていた。
(あ~~、オレ、この笑顔すきだな)
「……なんでジタンが照れてるの?」
「え?! オレどんな顔してる?」
「えっと、なんか顔赤くなってるよ?」
「…………わすれてください」
レイナから顔をそむけて思わずため息をつく。
笑顔見ただけで顔赤くなるって……オレださすぎない?