第15章 ライバル宣言~マダイン・サリ~
巨人の緑色の肌からは雷で焼けたのだろう。
ぷすぷすと黒い焦げたような煙があがっている。
「もう一押し、ってところか?」
ダガーの召喚魔法は敵に上手く効いたらしい。
「さすがダガー!」
「攻撃が当たってよかったわ」
今までもこの魔法に助けられることは多かったけど、やっぱり効果絶大ですね。
なんて会話している間に、ビビがとどめを刺そうと詠唱を始めていた。
ビビもしばらく会っていなかった期間にかなり成長していて、同じ魔法でも効果がかなり大きくなっていた。
特に今回の敵みたいな大きな敵には氷魔法が猛威をふるう。
「ん?」
なんか、敵の様子おかしくない?
どんどん目が血走っていって……ヤバい感じ?
「みんな、あぶな……」
嫌な予感は当たっていたようで、私が最後まで言い終わらない内に、敵がその場でヒップドロップをした。
瞬間、地割れのような大きな衝撃があたりを襲う。
うわ、これ立ってられない!
っていうか、地面どんどん割れてきてる!?
「うぅ……」
いち早く危険を察知して距離をとってよかった。
みんなも、大丈夫そうかな……。
「ビビ!!」
直前まで詠唱をしていたからか、前方で逃げ遅れてしりもちをついているビビが揺れた視界に映る。
まずい……!
嫌なイメージがフラッシュバックした、次の瞬間。
ふわり。
ビビの体は揺れる地面から浮かび上がった。
「もう、どんくさいわね〜」
後ろから聞こえたのはエーコの呆れた声。
見ると、エーコも浮遊していて、気づくと私の体までふわふわと地面から浮かび上がっていた。
浮いてる……あ、この魔法って。
そういえば、ダガーがレビテトって言う、体を浮遊させる白魔法があるって言ってたっけ。
「はぁ〜……よかった……」
浮いたその場でへたり込むと、テトテトとビビがこちらに駆け寄ってきた。
浮いてるのに歩けるんだ、不思議。
安心して力が抜けたからか、そんな変なことを考える。