第1章 はじまり
うるさく鳴る風の音に、私は意識を取り戻す。
「えっ、うへあああ!!!」
びゅおおと風の圧力が半端じゃないし、内臓がジェットコースターに乗った時の比じゃないほどに浮いている。
なにこれ、どういうこと?
落ちてる、すごいスピードで落ちてる。
そんな私の焦りとは裏腹に、地面には着実に近づいているようで、建物らしきものが見えてきた。
あっ、死んだな。
短い人生だった。
心の中でどこか悟りを開いていると、私の落下地点と思われる場所に人がいることに気づく。
まずい。
人を巻き込んで死ぬなんて、後味の悪い死に方だけはしたくない。
「よけてぇ!!!」
ぶつかる、と私が目をぎゅっと瞑ったとき──
辺りにパアッと光が溢れた。