第5章 風車小屋に隠された秘密〜ダリ村〜
流れる人形から目が離せない。
ぶらり、ぶらり、揺れる人形の足。
まるで催眠術にかけられたように呆然としていると、グイッと身体が持ち上げられた。
「しかたない!」
「わっ! なにするの、ジタン!」
ジタンの肩に担ぎ上げられて浮く身体。
えっ、ほんと、何事!?
「うわっ、ジタン!?」
ビビのことも小脇に抱えたかと思うと、ジタンはなにやら慌てているようで、あっちこっちへ移動して、人形の流れていく先、大きなスペースに駆け込んだ。
ようやく肩から降ろされ、ジタンに抗議の声を上げようとして、塞がれる。
「ん! むぐ……ん〜〜〜〜!!!」
「ゴメン、でも静かに!!」
しぃーとジタンが口元に人差し指を立てると、外から騒がしい複数の声が聞こえてきた。
「なぁ! 今、なんか騒いだかい〜?」
「いんや〜何もないよ〜」
あ……ここの従業員が近づいてたんだ。
「そっか〜ならいいんだ〜」
「そろそろ時間だ〜急いでくれよ〜」
「あいよ〜〜!」
よかった。
ジタンのおかげで私達は見つからずにすんだみたい。
ほっと息をつくのもつかの間。
頭上から何かが落ちてきて、あっという間にジタンはそれに飲み込まれた。
「んなっ!?」
「ジタン!?」
箱だ。
傍にあった人形と共に、ジタンは降ってきた箱に吸い込まれ、奥へと流れていく。
「うわぁっ!!」
「ビビ!!」
気づくとビビまで同じように箱詰めにされて奥へ流れていってしまった。
私が焦っている間にも、新しい箱は再び降ってきて。
「いやっ!!」
私までもが人形達と共に箱詰めにされてしまい、狭い空間に手足を動かすこともままならず、ガタガタと揺れる振動を感じていた。