第1章 はじまり
ガーネットの話を要約すると、こうだ。
ガーネットの母親、現女王様は旦那さん、つまりは王様が亡くなったのをきっかけになにやら怪しい武器商人とやりとりをするようになり、人が変わったようになってしまった。
そのことを旧知の仲である隣国リンドブルムの王様、シドさんに相談しに行こうと計画しているらしい。
ガーネット、なかなか行動的だ。
そしてその計画は、一週間後のガーネットの誕生日にやってくる劇場艇に紛れ込む予定だと言う。
そんな大事な時に私は来てしまったのかと愕然としてしまう。
えっと話を簡単にすると……つまりは家出ってことだよね?
『これもお母様、そしてこの世界のためなのです』
うーん……
ガーネット自身が王女様なだけあって、ずいぶん壮大な家出になりそうだ。
バレたら大変なことだよね。
それに、彼女は従者もつけずに一人で隣国に渡るつもりらしい。
実に大胆。
私も精一杯頑張ろう。
自分のせいでガーネットの計画を失敗させたくはない。
『では手始めに、礼儀作法からですね。それと世界情勢、地理、歴史、貴族の名前、覚えることはたくさんありますわ』
……やばい、さっそく挫けそうだ。