【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第6章 突然の依頼
「よく来てくれました! Ms.水野!」
私は今、シャイニング事務所の社長室にいる。
「お久し振りです、社長。お元気そうで何よりです」
目の前にいる元気をあり余している様子の元上司に挨拶をする。
「まさか、本当に来てくれるなんて思いませんでした」
豪快に笑いながら、彼は言う。私は自分の隣に立っている龍也さんをチラリと見た。彼は私の視線に気付いたのか、一瞬だけ目を合わせてまた社長の方に目線を向けた。
(確信犯ね)
ー私が断れないことを知っていながら、連絡を寄越したのだろう。
「……それで、社長。お話というのは……」
「そうでしたー!」
未だに笑い続けていた社長が笑うことをやめ、スッと真顔になった。
「Ms.水野、“劇団”に興味はありますか?」
「劇団?」
私は首を傾げた。
「アイドルが舞台に出ることをどう思いますか?」
社長の顔が近付いてくる。
「あ、アイドルが舞台?」
「そうデース!」
社長は大きく手を天に向けて広げた。
「アイドルが舞台演劇の主役を務めるのデース! 今まで、誰も成し遂げることができていないプロジェクト! 魅力的だとは思いませんか?」
社長の顔が再び近付いてくる。