第5章 いつもの日常

　あのことがあった後、しばらくQUARTET NIGHTのライブもないことから、わたしは普段と何も変わらない日々を送っていた。曲作りの依頼があったら、依頼主の元へ行き、イメージを具体的に聞く。それを元に曲を作り、指摘を受けて作り直し……それを繰り返して、提出期限までに書き上げる。毎日それを繰り返していた。
　その間に、嶺二たちQUARTET NIGHTは後輩グループのST☆RISHと共に、ファン投票によるシャッフルユニットを組んで曲を出していた。社長らしい新しくて面白い展開だと思った。もちろん、わたしも投票した。組み合わせは「嶺二&真斗くん&翔くん」「蘭丸くん&音也くん」「藍くん&セシルくん」「カミュくん&レンくん」「那月くん&トキヤくん」にした。歌声の高さが似てる人たちを組み合わせたつもりだ。実際は少し違う組み合わせになったが……。
　ユニット曲を聞いた時、雷に打たれたような感覚になったことを今でも覚えている。作曲者リストを見ると、全て同じ女の子が作曲していた。“七海春歌”。聞いたことがない作曲家だった。どうやら、ST☆RISHと共に早乙女学園に入学し、デビューしたST☆RISH専属の作曲家らしい。短期間に5曲もの数の曲を作曲し、全て違う曲調の曲を作った彼女を見つけ出したシャイニング早乙女はやはり凄いと思った。そして、その期待に応えた彼女も……。