【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第4章 自分の想いと彼の願い
「……」
「桜さん」
「ごめんなさい」
私は彼のまっすぐな瞳に耐えきれなくなり、顔を下に向けた。
「これ以上は……嶺二のためにも話せない」
「俺にも話せないことですか?」
「……」
私は俯いたまま、目を瞑った。
「嶺二はきっと、蘭丸くんや他の2人に知られることを望んでいない」
「……」
目を開いて、私は蘭丸くんを見た。
「これは……私自身の問題なの。嶺二は……関係ないの」
「桜さん……俺は……」
「蘭丸くん」
何か言いたげな顔をしている蘭丸くんを制して、私は言葉を続けた。
「もう、決めたことなの。私は……嶺二のそばにいるべきではないの」
「そんなの、あいつは……」
「私は!」
なぜか目の奥が熱くなって、視界がぼやけた。思わず、語気も荒くなる。
「私は……あの人の足を引っ張りたくないの……」
震える声でやっと、その言葉を絞り出した。
「桜さん……」
「私がいたら……嶺二は前に進めない。嶺二はもう、1人じゃないの……」
ー自分が辞めてから何度かライブに行ったが、寿嶺二はQUARTET NIGHTの仲間と共に未来を見据えていると思った。バラバラな彼らなりに頑張っているのだと。
「あなたたちがいるから、私は必要ないの」
「それは違ェよ」