【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第1章 輝いている彼
「今日のセトリ、どの曲が入ってるのかな?」
美雪はキラキラと目を輝かせている。セトリはそれだけ、ライブの中で重要なものなのだ。歌う曲ももちろん好きな曲が来ればテンションが上がるが、曲の順番だって大切だ。テンションの上がる曲の後に、バラードが来るのはちょっと……と思ってしまうし……これはあくまで、私の個人的な意見だが。
「今までの曲はほとんど歌ってくれると思うよ。あと、新曲は絶対歌うと思う」
「そうだよね! 楽しみだなー! 『Winter Blossom』は歌ってほしい……」
ニコニコと幸せそうに笑いながら話している彼女を見て、こっちまで幸せな気持ちになる。
「藍ちゃん、今日はどんな衣装なんだろ?」
自分の着ているワンピースを見て裾を摘みながら、美雪は言った。美雪の推しである美風藍くんのメンバーカラーであるラベンダー色の服がゆらゆらと揺れている。
「ふふ、美雪は本当に藍くんのことが好きだね」
「当たり前じゃん! カルナイはもちろん、みんな好きだけど……藍ちゃんは特別だもん!」
満面の笑み彼女は笑う。推しがいるということは人生に彩りが出るということ。それが人の幸せに繋がるのだと、彼女に出会って知ることができた。