【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第1章 輝いている彼
目的の場所までは少しの間だけど、新幹線に乗らなくてはいけなかった。車窓の外を見ると、目まぐるしく風景が移り変わって行く。閉塞感もあり、耳鳴りと揺れが酷い。
「美雪、大丈夫? 気分悪くない?」
「うん、大丈夫。ちゃんと寝たし、薬も飲んだし」
美雪は体が弱く、よく乗り物酔いを起こしていた。この前、一緒にディズニーランドに行った時も終始調子悪そうにしていた。
だけど、今日は大丈夫そうだ。顔色もいいし、いつもはトイレに行くことが多いが、それもない。
「そう言えば、今日ってどこでライブやるんだっけ?」
「うーんとね……ちょっと待ってね」
今日の目的地ーーライブのチケットをカバンの中から取り出して、詳細を確認する。集合場所や時間を決める時に見たはずなのだが、あまり聞いたことがない場所だったので忘れてしまったのだ。
「えっとね、東京国際フォーラム? ってところ」
「あ、そうだね。あんまり聞いたことなかったから、忘れちゃってた」
いろんなジャンルにハマって、数々のライブに参戦している美雪ですら、あまり馴染みのない場所らしい……そんなところで、彼らがライブをすること自体、とても珍しいことだ。
その後も、ライブの演出や曲について予想をしながら2人で話した。