【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから
第3章 思いがけないメール
「……え?」
(今……何した……?)
「君のせいさヴィーナス」の部分で、嶺二が私に指差しをした。ーーいわゆる、ファンサというものだ。
(え……え!?)
驚きのあまり、開いた口が全く閉じない。
「♪〜どしゃぶりな心も〜♪」
ステージの上で歌っている嶺二は何事もなかったかのようにパフォーマンスを続けている。
「……」
(ま、まさかね……)
ーこんなにたくさんのファンがいるのだ。いくらステージから近いとは言っても、こんな大勢の中から、特定の人物を見つけることは不可能に近い。
(他の子に指差しをしたのかもしれないし……)
そう思っていると……。
「♪〜サンキュ! I LOVE YOU!!〜♪」
「!?」
(まただ……)
今度は、「I LOVE YOU!!」の部分で指差しをした。
「……」
ー絶対に見つける! 約束する……。その時は何らかの形で君に伝えるから!
「……嶺二……」
ポツリと私は呟いた。
歌い終わって、ステージの上でたくさんのファンの子たちに手を振っている彼を見つめた。キラキラと眩しく輝くその姿に、昔の彼の面影は全くない。
彼は私の方を見て、小さくVサインを作った。ーー昔から何かあると、私に向けてくれたその印。彼が本当に私に気付いたという証でもあった。