第5章 5.いつのまにか
『これ……智くんも好きな曲だ』
前、智くんが鼻歌で歌ってて、
"好きなの?"って聞いたら"うん、好き"
その"好き"が私ならいいなって
期待してたなぁ……なんて思い出す。
二宮「ん、そうなの?
じゃあ趣味が合うかもしれませんね」
『うん、そうだね』
しばらく、その曲を聞きながら
昼間の青空を二人で見ていた。
二宮「大野さんとは?いつから一緒?」
急に二宮くんからの質問
それはすごく嬉しくてニヤけました。
『私が幼稚園入りたてのころから。
幼稚園から今までずっと同じなんだ』
二宮「へぇ、気持ち悪ぃ」
『うるさいなぁ……いいの!』
二宮「へいへい……んで?」
話を続けろとでも言うように、
二宮くんは寝そべって顎をクイッとした。
『とにかく、私が智くんを大好きで
ウザイくらい放れなかったの。』
二宮「ま、今もだけどね?」
『…………まぁ……否定しないけど』
二宮「とにかく大好きだったわけね?」
そう、大好きで大好きで…
たまに考えることがある。
智くんも成人して、
社会人になって、綺麗な人を見つけて
いつか、どこかにいっちゃうって
それは絶対あり得ることであって、
それを阻止することなんてできない。
昔みたいに"いっちゃイヤ!"って
泣いて言えたらいいかもしれないけど、
二宮「泣くなって言ったでしょ?」
『っ……泣いてないもん…笑ってるもん』