第3章 雪解け
関係者以外立ち入り禁止の扉を開ける。
早朝の冷たい空気が2人の肌を撫でた。
「あーっ!」
裏返った声で、香苗は大きく息を吐く。
「今日は何もかも話しちゃったなー。」
うーんと伸びをする香苗の顔を、啓太が覗き込む。
「嫌でした?」
啓太が笑いかけると、香苗は頬を膨らませた。
「すっきりした。」
「素直じゃないんだから。」
しかめっ面の香苗が啓太と見つめ合う。
そのうち香苗がプッと吹き出した。
「原田。」
「何ですか?」
「ありがとうね。」
香苗が敬礼してみせた。
「身辺整理して綺麗になったら、君との件を真剣に検討したいと思います!」
今度は啓太が吹き出した。
「ありがたき幸せであります!」
啓太も敬礼で返す。
「これからもよろしく。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
2人して笑った。
笑い合って1歩を踏み出し、2人は並んで駐車場を目指した。