第3章 雪解け
どれだけの時間が経っただろう。
泣き疲れた2人は並んで机に突っ伏していた。
機械がブーンと音を立てているのが聞こえる。
腕に顔を埋めたまま、2人はくぐもる声で会話した。
「ねぇ香苗さん。」
「なーに?」
「あの日、なし崩しに抱いてしまってすみませんでした。」
「あたしが断らなかったのが悪いのにまだ謝るの?」
「俺からしたら手を出した俺が悪いんです。」
「そっか。視点で意見は変わるのか。」
「そうです。だから今は自分にワガママになってください。」
「えー?いいの?」
「香苗さんのあの時の気持ちを聞きたいんです。」
「何度も言ったけど、あたし自己中だよ?」
「いいんです。香苗さんの事もっと知りたい。」
「・・・そっか。」
まだ2人の顔は上がらない。