第2章 極寒
香苗の目から涙がこぼれた。
啓太が泣いている香苗を見るのはこれが初めてではない。
でもこんな、激情に任せて喚き散らす香苗は初めてだった。
「あんた達にとって大事なのは、あたしを抱けるかどうかだけでしょう!?」
香苗にとっても、こんなに喚き散らすのは初めての事だった。
どこかで混乱している自分がいる。
やめておけ、そんなみっともない真似。後悔するのは目に見えている。
いつも言ってるじゃない。全てはあたしが悪いのよ。
だから何も言うな。これ以上は止めろ。
それでももう、止まらない。
「あの人は!あたしを愛してるって言ったのに強引に抱いた!」