rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第15章 rain of fondnessⅤ-6
囀りには囀りで返す。
キスをして、舌をなすり付け合って、組み敷いた名無しの抗いを肌で感じ愉悦を孕ませる。
欲しいと直接口にする名無しは、ナッシュにとって特別だった。
自分が求められていると思える瞬間だったからだ。
それは、今まで合意もなく、ただ名無しのことを犯すばかりだった彼が、唯一望んだものなのだろう。
無理やり抱かれることが彼女の性癖のひとつで、無理やり抱くことに自分が恍惚を感じていても、
望まれることそのものに勝る悦びがないことを新たに知れば、それを欲しくなるのは当然だ。
名無しが自分からナッシュを望み、そのために口淫を何度も何度もしていたと思うと愛情は募るばかりで、彼の中には濃淡を問わず、名無しへの恋慕が沸き上がった。
「あ・・、あ・・・っ、ァ・・ん・・」
摺り寄せた身体、猛々しい陽物をひけらかすだけひけらかして、陰部間近でそれをちらつかせる。
唇を啄ばみながら吐息のかかる距離、色っぽく潤んだ目をした名無しを見下ろしながら、ナッシュは冷たく彼女の言い分を真っ向から否定した。
が、欲しいものを与えられず、しょんぼりとした表情を匂わせた名無しの仕草を、ナッシュは一瞬たりとも見逃さない。
そこにぐっと、腰を一気に打ち付ける。
何かしらのモーションが起きたことを感じさせる間もなく、ナッシュは口にした言葉とは真逆の所作をとり、ものの見事に彼女の不意を突くと、陰部を自身で埋め尽くしてみせた。