rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第41章 tryst in a...
「おまえは……ハハ…ッ…。やみつきにさせやがる…何度も言わせるなよ…」
「…っんん……」
名無しがナッシュにただ一言、直球を投げた時の彼の表情は、一瞬は固まっていた。
けれどそれは本当に一瞬のことであり、見開いた目はすぐに半月を描くように細まって、口元は口角が上がっていた。
物理的な話、別に不可能ではなかった。
正直これといった時間を指定したわけじゃなし、思っていた約束の時間を大幅に遅れて、部屋の外の迎えが来るかもしれない。
逆もまた然りという懸念もあったけれど、今のナッシュは既に、それよりなにより名無しを欲しいと感じていた。
「ン……。濡れてるんだろう?どうせ……、!…フッ……」
「ナッシュ……、あ…ッんん……」
扉に背を付けたままだったナッシュは、名無しを抱くと決めた以上、いつまでもこの状態ではいられないとばかり、すぐに行動を起こす。
簡単な話だ…自分より非力な、都合よく寄りかかっていた彼女の腕をとり、そのまま扉横の壁に追いつめればいいだけのこと。
ホテルということもあって、壁には大きな姿見が張り付けられており、ナッシュはそこへ構うことなく名無しを押しやった。
当然、スカートと下着を捲るまでも実に手慣れており、指先がじっとりと粘液を掬った感触を覚えれば、その瞬間再び微笑んでみせた。
愛撫を飛ばすのはやむを得ないこと……けれど名無しもまた、今は不要ということを承知の上、それでよかったと思っていた。