rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第31章 rain of fondnessⅪ
『っ・・・ん・・』
喉の渇きを満たし、寝具の上で組み伏せる。
唇の感触を噛み締めれば、そこに名無しの存在を強く感じた。
今、彼女が自分の傍に居るということの大きさは、柔和な表情が思わず零れるほど・・・おそらくはそう言えば形容も易いだろう。
ナッシュにさえ張り詰めていたものはあったのだ。
『!・・・ナッシュ・・あったかいね・・』
『おまえほどじゃねえよ』
『ッ・・、・・・』
何の迷いも後ろめたさもない。
今はもう同じ石鹸で身体を流し、同じ匂いを纏って、同じベッドにその身を預ける。
ただセックスに耽る以外に抱いた幸せを初めてそこに見つけ、その感情を手に入れてから初めて、彼は名無しに左腕を伸ばしていた。
『・・ッ・・・』
そして名無しもまた、そこで見つけていた。
抱かれる以外に幸福と呼べるに相応する、彼と過ごす大切な時間を――。
『・・・さわっていい・・?』
『?・・・ああ・・』
『・・・ふふ』
ケットの端を掴んでそれを自分たちに引き寄せると、名無しは改めて、ナッシュの腕に頭をつけた。
――。
―――。