rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第28章 rain of fondnessⅩ-3
「・・っ・・・ナッシュ・・、ん・・!ちゅ・・・ッハ・・」
「ン・・・、汚れちまうぜ?いいのかよ」
「・・っ・・・、ん・・――して・・、してくれないと・・・やだ――」
「!・・・ハッ・・、言いやがる・・」
耳朶をはむはむと啄ばみ、名無しが伸ばしていた舌を引き剥がしたナッシュの腕が、ほんの少し名残惜しそうに見える。
そう感じたのは、華奢な身体を力無く離す、名無しの二の腕にかけられていた彼の握力がとても弱かった所為だ。
僅かな時間でも、ナッシュも気持ち好く感じてくれたのだなと自然に思えたことは、名無しにとっては嬉しい出来事だった。
勿論、喜ぶ余裕などなかったのだけれど、ナッシュの感じる部位のひとつが、確かにそこだという確信を改めて持てたことが何より幸せに思えたのだ。
装飾を外した機会に共にベッドに入ることがあれば、またじっくりと攻めてみたい・・・そんな淡い目標さえ芽生えさせるほどに。
「っ・・・」
そして名無しが、ナッシュに問われたことに答えを添える機がやってくる。
真剣な眼差しで見つめられ、また巧妙に腰をくねり焦らされる。
湯の張った槽の中で対面して跨るその体位は、名無しの求めていた彼への願いを叶えてもらうにはどうしても無理があった。
甘く密着させ合った身体が一度離れるのは切ないものを感じるけれど、すべては欲した二度目の高みゆえ。
名無しは恍惚を浮かべながら、小さな声音でしっとりと本心を囁いた。
その表情と、紡がれた言葉にナッシュもまた下肢の中心を疼かせ、キスをしながら再び問いかける。
まもなくして、揺るぐことなく更に返された彼女の言葉にはらしくもなく、ナッシュは従順に、名無しの願いを聞き入れるだけだった。