rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第28章 rain of fondnessⅩ-3
ナッシュの話し声は、どんなトーンでも身体を疼かせる。
人前でのそれも、自分と二人きりのとき、こうしているあいだに紡ぐ低めのそれも。
だからその音色を聞き続けていたいと思っていても、奏でられる言葉の種類が異なるだけで、聞いていられないほどどきどきとするということは少なくなかった。
それは勿論名無しにとっては、その殆どがベッドで囁かれるようなものたちがあてはまっていた。
卑猥なことを囁かれ、嫌味たらしく罵られることも・・・そして今で言えば、ちょうど彼が口にした言葉が名無しを高揚させている。
動じてなどいるものか、なんて態度をとれるわけもない・・・。
ひとつひとつの愛撫に慣れ、腰付きひとつ覚えられたと思った矢先、またその先を匂わせる甘い誘惑をナッシュはいつだって仕掛けてくるのだから。
ひたすら願い続けて、やっと引き抜かれた彼の指。
その気配が陰部の後ろから無くなって、不覚にも物足りないと感じてしまったことを、名無しの僅かな表情の変化でナッシュは悟っていた。