rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第25章 rain of fondnessⅨ-2
ふと、ついに入浴直後の静かな空間と、無言の続いていたその状況に耐え兼ね、名無しが咄嗟に口にしたのは適当な会話からだった。
名無しは自分で、わざわざ墓穴を掘るような問いをナッシュにしたことを恥じ、そのうっかりに赤面した。
自らネタを下世話なものへ運んでいるような気がして、そう捉えられることが悔しかったのだ。
別に彼は初めての男だったわけじゃない。
ナッシュと出会う前は人並に経験はあったのだから、ホテルにだって入ったことも勿論あった。
ただ、そんな自分の過去の話すら、今は思い出したくないと感じたがゆえに、名無しは胸のまわりをちくちくとさせていた。
「・・・きで・・」
「ん?」
「ッ・・・好きで・・!好きでここに泊まってたわけじゃないし・・っ」
「、・・あァ・・・?」