rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第25章 rain of fondnessⅨ-2
「・・・そういや、あとでクローゼットの中見とけよ。引き出しの一番上に、一着おまえの下着が入ってるぜ」
「!・・え・・・?!」
小さく身の振りを演じたことが馬鹿らしい。
追って浸かったナッシュがバスタブの中で大きく足を広げると、名無しはそこで従順に折っていた膝を伸ばし、背中も、彼の胸元にもたれこむようにして型を作った。
もっとも、もたれざるを得なかっただけではあったのだが・・・。
ナッシュの両腕は、当然のように名無しに回されていた。
初めてのことに、心臓はどくどくと鼓動を刻んでいる。
その速さが通常よりも増していたから、動揺だって彷徨ったのだ。
名無しはこのとき、僅かな雫が跳ねるだけの静かな空間で、もしも自分の予想どおり、ナッシュと向き合って入浴していたらどうなっていたかを軽く考えた。
そしてすぐに脳内で出した結論は、逆に背を預けてよかったということだった。
向かい合わせでもし居れば、その鋭い視線に耐えられたものではなかっただろう。
瞳の中心を上下させ、明るいこの場所でくまなく見つめられ、目元だけでその感情を剥き出しにきっと犯される・・・そんな気がした。