第21章 rain of fondnessⅦ-5

『っ・・あ・・・、ァ・・』


拒む直前、たとえばもうひとつの選択肢があったとして、ナッシュを受け入れるというそれを選んだところで、どう未来が変わっていたというのだろうか。
そう追求したい気持ちも無残に散り、虚しく挿入を許す陰部は卑猥に音があがっている。
体積に対し、必死に顕示するのは嫌悪感だけだった。

どうせこういう男は、拒んでもそうでなくても、やることはひとつしかない筈なのだ。
それならまだ残る自分のプライド、細い糸を名無しは守っていたかった。


ナッシュは自身のスーツと下着を難なく下ろすと、名無しが覗き込む間もなくそれを挿入した。
狭い膣に開ききっていなかった入口、そんなことにも構わず先端を摺り寄せ、ぐっと奥まではひと突きだった。


ずぶずぶと淫猥な音がしたのは勿論、名無しが感じていたことで、夥しく甘露を漏らし溢れさせていたから。

挿入ってみればことのほか濡れていて、包まれた陽物に降り注ぐ何とも形容し難いその快感に、ナッシュは曇天がかった表情に再び晴れ間を宿し、
黙って何度も口角をにじり上げた。


『あん・・、・・・あ・・ッ――、いゃ・・・』

『・・・・』

『だめ・・・、や・・ッ・・・ソレ・・、ッ・・・いく―――！！』


腕を伸ばし、屈強な胸元を押し返す仕草のなんと健気な抵抗か・・・。
きっと男に抱かれるのは久しぶりであろう名無しの気持ちとは裏腹に、潜めていた彼女の性欲が滲むその身を掌握するナッシュは、
今この瞬間の自分がとてつもなく愉悦に溢れていることを自覚していた。

そしてちらつかせた施しを断絶拒否した名無しが、暫くして、自身の激しいピストンで膣内に蠕動を起こし、勝手に絶頂を味わう未来も悠々と見ていた。