rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第20章 rain of fondnessⅦ-4
『おまえの声はやけにそそるな・・・誘ってんのか?』
『ッ・・・いや・・、・・・だめ・・』
『そんな声もだ・・・もっともっと出させたくなる・・、ん・・・』
『!んん・・・、・・ッ・・・』
こんなことを言われている時点で、誰かと比べられている。
幾人もの女を抱いてきた動かぬ証拠だろう・・・。
誰とどこを比較しているのかなど興味も持てたものではないけれど、それが気に入らないと感じるのはどうしてか、肝心なことが名無しには分からなかった。
もう弄ぶのはやめて欲しい・・・どうせ地獄を見るなら、早く終わらせてほしいとさえ願った。
無駄にキスをされ、舌を這いずり回されて、身体が喜悦を覚えてしまえば、そんなのは地獄より苦しいだけなのだから。
『そら・・・こっちも触られたくなったろ・・?フッ・・楽しみだな。おまえの・・・この中がどうなってるのか・・』
『いや・・・、あ・・』
男に触れられるのなんて久々だった。
この日、名無しが約束をしていた友人と会う予定があったのは、自分と会いたいと言ってくれている相手がいたからだ。
あまり遊ばないタイプとばれていた分、友人の気遣いはいつもコンスタントに続いていた。
正直、気分ではなかったというのが本音だ・・・けれど、いつも自分を気遣ってくれる友人の気持ちは本当に有難かった。
暇潰しにはなるだろうと、それなら服装も身嗜みも、清楚に装っておくべきかと考慮した結果がこれなのだから、言葉も出ないのも仕方なかった。