第1章 初期刀 加州清光①
光が収まり、ひゅうがが目を開けると、
目の前には黒髪の青年が微笑みながら
ひゅうがの手を握っていた。
「えっと……」
「あー。川の下の子です。加州清光。
扱いづらいけど、性能はいい感じってね」
戸惑うひゅうがに清光が微笑む。
陶器のように滑らかで白い肌、
鮮やかな爪紅。
ひゅうがの手を握る手は温かく、優しさに満ちていた。
ひゅうがは握った手を見つめた。
「どうしたの?もしかして緊張してるの?」
手を見つめたまま黙り込むひゅうがを清光が覗き込む。
「あったかい……なと思って」
人柱にされ、目覚めたら知らない場所にいた。
仲間は全ていなくなり、ひゅうがはひとりになった。
だが、清光の手の温もりを感じ、ようやくひとりではなくなったような気がした。
「……なら、こうしたらもっと温かいんじゃない?」
ひゅうがの言葉に、少し考えるような仕草をした後、清光はひゅうがの手を引っ張り、胸の中へと抱き寄せた。
「ほら……ね?」
抱き締められた瞬間、身体の力が抜けていくような、安心感。
ひゅうがはゆっくりと目を閉じ、清光の肩に顔を埋めた。
「主?泣いてるの?」
「…………」
ひゅうがは顔を埋めたまま、何も答えない。
声を押し殺し、静かに涙していた。
「……これからよろしくね」
そう言ってひゅうがの髪を撫でると、
ひゅうがが泣き止むまで抱き締めていた。
第ニ章に続く