第4章 二振目 へし切長谷部②※R18
「ん…………」
ひゅうがが目を開けると、見慣れた天井が目に入る。
彼女は自分の部屋で横になっていた。
身体がだるく、頭痛がする。
やはり、四振り顕現の反動が来たのかとひゅうがが思っていると、視界に長谷部が入る。
「主……お身体は大丈夫ですか?」
何故、長谷部がここにいるのだろうか。
ふとそう思った矢先、風呂場での痴態を思い出し、ひゅうがは顔を赤く染めた。
「わ……私っ」
身体がだるいのは、顕現のせいではない。
風呂場で長谷部と快楽に溺れた末に、のぼせて倒れたのだ。
「主、申し訳ありません。この長谷部がついていながら、主のお身体に傷をつけてしまいました」
「え?傷……?」
ひゅうがが倒れた際、急なことに長谷部の反応が一呼吸遅れ、ひゅうがは頭を打って出血してしまっていたのだ。
「わ、私……怪我したの?」
ひゅうがが恐る恐る額に手をやると、ガーゼが当てられていた。
「幸い、血はすぐに止まりました。傷が残らないと良いのですが……」
「手当てしてくれたんだ……ありがとう長谷部」
長谷部は拳を強く握りしめ、顔をうつむかせていた。
ひゅうがはその手をギュッと握り、微笑みかける。
「長谷部、大丈夫だよ。けど、もうお風呂場では……ああいうことはしちゃダメ」
思い出すだけで恥ずかしい。
ひゅうがは顔を赤らめながら長谷部に言うと、握りしめていた拳を緩め、ひゅうがの手に己の手を重ねた。
「主……、申し訳ありません。風呂場では、もう今後は致しません」
長谷部が風呂場ではを強調するように言うと、ひゅうがは言い方が間違っていたことに気付き、慌てる。
「ち、違っ……お風呂場がダメとかじゃなくてっ」
「主、今夜はもう遅いですから、このまま眠ってください」
長谷部は話をはぐらかすようにひゅうがを布団に寝かせると、優しく微笑みながら彼女の頭を撫でる。
その仕草にひゅうがが何も言えなくなると、長谷部はひゅうがの額に口付けた。
「長谷部……」
「主、どうぞおやすみくださいませ」
そう言って長谷部は立ち上がると、足早に部屋を出ていってしまった。
室内には静寂が訪れ、薄暗い行燈の灯りがひゅうがの顔を照らす。