第4章 二振目 へし切長谷部②※R18
新月の今日、顕現したのは全部で四振り。
打刀のへし切長谷部の他に、短刀が五虎退と乱藤四郎の二振と、打刀の歌仙兼定。
新月の日だからといって、やりすぎただろうか。
負担が少ない日とはいえ、明日には何らかの影響があるのかもしれない。
ひゅうがはひとり考えごとをしながら衣服を脱いでいく。
ひゅうがは最後に顕現させた歌仙兼定を部屋に送り出した後、本丸内の風呂場に来ていた。
毎夜、遅い時間に風呂に入るのがひゅうがの日課だ。
風呂場から見える月を眺めながら風呂に浸かると、不思議と頭が冴えてくる。
今夜は新月のため、月明かりのない風呂場内は蝋燭の灯りだけ。
ひゅうがは小さなタオルを持って中に入り、転ばないように洗い場に向かうとタオルで石鹸の泡を立て、身体を洗い始める。
「ふぅ……今日は頑張りすぎちゃったかな」
だが、刀剣男士は五振になった。
顕現したばかりの彼らも、しばらくすれば任務につけるようになるだろう。
「…………」
ふと、ひゅうがは身体を洗う手を止める。
こんのすけから渡される時間遡行軍の報告書を、ひゅうがは毎日欠かさず目を通している。
その中に、時間遡行軍の現れる前兆に天候の乱れが確認されたとあり、彼女は何か引っかかるものを感じていた。
「史実に記載されてもおかしくないほどの大雨や、突然の雷雨……か」
時間遡行軍に連れ去られた妹は、どうしているだろうか。
ひゅうがが育った里の巫女は皆、異能の力を持っている。
ひゅうが自身もそうだが、彼女の妹も例外ではなく、妹は天候を操る力を持っていた。
彼女が望めば、一つの村に延々と雨を降らせることも出来てしまう。
「力を強要されている……とか」
時間遡行軍に酷い仕打ちを受けているのではないかと考えてしまい、怒りが込み上げてくる。
だが、今はまだ何もわからないのだ。
これ以上考えるのはやめようと、ひゅうがは再び身体を洗い始めようと手を動かした。