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神威の巫女【刀剣乱舞】R18

第14章 花と鯰 鯰尾藤四郎



やっぱり、兄は弟の涙に弱いのだなとひゅうがが思っていると、抱きしめられたままの鯰尾と目が合う。
ひゅうがと目が合った瞬間、鯰尾の表情は泣き顔から一転、にっこりと笑う。
悪戯が成功したかのように。

「……っ」

鯰尾藤四郎、涙の演技恐るべし。
本心がどこにあるのか、全くわからない。
だが、これまでのやり取りを、ただ黙って見ている骨喰も同じくよくわからない。

ひゅうがに背を向けていて、一期一振の顔は見えないが、この雰囲気ならもう怒ってはいないだろう。
ひゅうがは立ち上がって衣服を整えると、頃合いを見計らって声を掛ける。

「それじゃあ、鯰尾と骨喰はこの部屋を出て。部屋の外で待機している男士に本丸を案内してもらってくれる?」

「はーい」

「了解した」

想定した通りではないが、なんとか上手く収められた。
ふっとため息を着き、続き部屋から鯰尾と骨喰を顕現の間へと送り出そうとする。

「主、お待ちください」

上手く収めた、と思ったが違ったようだ。
振り返れば、一期一振の怒った顔が待ち受けていた。

「後ほどお話があります。何故かは……わかりますよね?」

「……はい」

一期一振を呼んだこと、今更ながらに後悔。
ひゅうがは顔を引きつらせながら、返事をした。

何もしていないのに。
そう思いながら、ひゅうがは鯰尾達を加州のもとへと引き継ぎに部屋を出た。



第十五章に続く
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