第10章 崩れる不幸
そしてこの先にはまだ続きがあった。
先輩の好きな人は夢を追い求め、遠くへと引っ越してしまった。
そして先輩の気持ちの行き場はなくなり、その人が引っ越してからもずっと湊へちょっかいをだし、いつのまにか湊が好きになっていた[気がした]。
そして湊に綺麗にフラれて思ったそうです。
[私はあの人の変わりを探していただけなのだと。]
けれど、私たちが幸せそうな姿を見て先輩は何故自分は報われないのか。
何故あの人は報われなかったのか。
それは理不尽ではないか。
そう思った先輩はこれを最後にと、八つ当たりに湊の悪い噂を流した。
でもそのあと、先輩を不幸が襲った。
先輩の好きな人が帰ってきたと。
そして彼は夢を追いかけ、引越先の高校を出たあとそのまま会社を起業し、また地元へと帰ってきた。
そしてその仕事は成功していた。
それを見て安心した先輩は彼に告白した。
すると衝撃の言葉がかえってきたそうです。
[確かに、お前のことは好きだったけど白野とか周りに嫌がらせしてるって本当か?本当なら、そんな奴とは付き合えない]
その言葉を聞いた先輩は悲しく、悔しく、負の感情に襲われた。
そしてそれを弁解しようとしてもやってしまったことはやってしまったこと。
「あなたのためにやった」
とは言えなかったし信じてもらえるとは思わなかったそうです。
そして弁解して誤解をとけないまま、泣き崩れていたところにあの日、私たちがでくわした。
これが話の真相でした。
これを聞くと先輩も被害者だったのかもしれない。
そう思ってしまう自分がいた。
散々いろんなことを自分がされたのだとしても、それは歯車が狂っただけで。
私たちにもこんなことが起こってしまっていたかもしれない。
そう思うとほうっておけなかった。
その話が終わったあと、先輩は言ってくれました。
「いままで、本当にごめんなさい。江城にも、湊くんにも迷惑かけて。これからはもうしないから安心してくれていい」と。
そういったあと先輩は立ち上がりお金を置いて返ろうとした。
なので私は先輩を引き止めた。