第10章 崩れる不幸
後日。
私は先輩と会う予定を取り付け、とある休日に先輩と二人で会うことにした。
この件に関してはもう湊には関わってほしくなかった。なので二人で会うことも言わなかったし、友達と遊びに行くと言ってすこし疑っている湊をごまかした。
待ち合わせはとある喫茶店。
話が長くなりそうなため私があらかじめ調べて提案したところだ。
先輩は何かぐちゃぐちゃと言うかと思ったが全く言わなかった。
待ち合わせ先の喫茶店に着くとすこし早かったのか先輩の姿は見当たらなかった。
店員さんに人数を伝え先に席に通してもらう。
しばらく待っていると先輩はいつも通りの感じでお店に入ってきた。
どこか悲しげな雰囲気をまとって。
「...遅れてごめんなさい。」
そう俯きながら言う先輩に私は
「いえ、遅れてきてないですよ。約束の時間通りです。」
という。
何から話したら良いかわからず、ひたすら沈黙の時が続きそうになっていた。
おそらく、先輩は自分から口は開かない。
そう思って私は
「私に嫌がらせをするよう、指示したり湊の悪い噂を流したのって先輩ですよね?」
と言った。
こう言う予定では無かったが、おそらく私が遠回しに言っても先輩はとぼけてごまかすだろうと思った。
なので私は本題を丸々先輩には言ってみた。
「.....全部話す。」
先輩はそう、私に言った。
ことの発端は、先輩の好きな人から始まる。
けれどその好きな人は湊ではない。
この前電車のホームで見かけた男の人のことだった。
その人がふいに言ったそうだ。
「白野の双子ってすごいよな」と。
その時、その人はいろんなことに挫折していた。
部活や、勉学。
どれも誰にも劣ったことが無かった。
そしてその人はふいに言ったそうです。
「あんな天才たちに俺みたいな努力派は勝てないのかな」
と。
だから先輩は友達があまり周りにいなく、先に相手をしてくれそうな湊にちょっかいを出しはじめた。