第9章 波風
距離を置いて三週間。
雛斗くんと寄り道した次の日から雛斗くんと学校の行き帰りをするようになった。お昼も共にしたり。
そして距離を置いて三週間目になる今日、雛斗くんがとんでもない行動にでた。
いつもどおり学校に行くため家を出ると家の前で雛斗くんがまっていた。
一週間ほどたち、この光景にも少し慣れてきた。
おはようと挨拶を交わし、私は歩き始めようとする。
すると突然、雛斗くんに「少し待って!」と言われた。
私は「あ、うん」と軽く返事をし、しばらく雛斗くんと共に待った。
数分待つと「わりぃ、雛。待たせた」といって湊が表れた。
雛斗くんは少し嬉しそうな笑みを浮かべて「よし、行くよ」といい私と湊の手を引いた。
正直、距離を置きたいって言ったことに対して後悔はあったし、会う口実を作るのもプライドが邪魔して作れなかった。
だからどんなことであれ、会えていることに対してはうれしく思う。
その半面、今会うと間違った答を出してしまうのではないかという心配もある。
私が俯きながら歩いていると雛斗くんは「もう俺、二週間後にはパリなんだからさー、もう少し笑顔でいてよ。ね?」といいながら私の顔を覗き込む。
そういいながらもどこかで彼には気を使わせてしまっているのだろう。
「雛、今の状況分かってて俺らを呼んだんならそれは迷惑じゃないか?もう少し人のこと考えろ」
と突然湊はいいはじめた。
珍しく怒っている湊に驚きを隠せない。
「ま、湊いいじゃん?雛斗くんもいろいろ考えて行動してくれてるんだしさ?」
私がそういえば「七華がそういうなら」と湊の怒りが収まった気がした。
雛斗くんは私たちの少し険悪になっている空気をなくそうとしてくれている、湊は私への嫌がらせを全力でなくそうとしてくれている。
自分のためでしか行動していないのは私だけだ。
何か行動しなきゃいけない。
そう思うが何をしたらいいかわからなかった。