第9章 波風
「ここまで、大丈夫か?」
湊は心配そうに私を見つめる。
私はおとなしくこくりと頷いた。
すると湊は私に話を続けた。
「連絡を取るとその人は俺がその人とデートすれば嫌がらせをやめるっていった。だから俺は一日だけ、その人と出かけることにした。けどその人は帰り際に何度も何度も会う約束を取り付けてきた。会わなければ嫌がらせを続けるって。だから俺はその話に渋々のった。それが前駅前で会った時までの出来事だ。」
湊の本意ではないことはわかった。
けど何故あそこでキスされていたのかわからなかった。
「なんであそこでキスされてたの?」
私は自分の疑問を投げかけた。
すると湊は
「ここからは、七華の判断に任せる。だからしっかり聞いてほしい。」
そういって息を飲んだ。
「あの時は自分の本意ではキスはしてない。でも、この言葉には説得力はないと思う。だから、もしお前が俺のことを一連のことで嫌いになったなら別れたいと思ってる。」
私が考えても見なかった言葉がでた。
正直、現状で本当なら彼を嫌いになるだろう。
だけどそれでも湊を嫌いになれない自分がいた。
どう足掻いても湊のことは[好き]
だから私は彼に一つ疑問を投げた。
「湊、あんたの気持ちはどうなの。付き合ってて、やっぱり思ったのと違ったとか、私が重かったとかあるの?」
自分の答を言わなかったのは都合のいい女だと思われたくなかったからだ。
こう私が考えている時点で、私は湊のことを信用しきれてないんだと思う。
「こんなこと言っても信頼してもらえないと思うけど、俺は七華に不満はないし、好きだ。」
そう湊に言われて私は「そっか。」という一言しか返せなかった。
だから私は一つ提案した。
「一回、距離をおきたい。一ヶ月距離を置いて来月、答を出したい。」
すると湊は「わかった。じゃあな。」といって私の部屋を出て行った。